令和2年度「専修学校による地域産業中核的人材養成事業」

事業内容の説明

事業の内容等

(1) 事業の趣旨・目的等について

i)事業の趣旨・目的を追加

家の中の様々な機器やセンサーをインターネットに接続(モノのインターネット:IoT)し、自動制御やスマートフォンなどの端末から遠隔操作ができる家(コネクティッド・ホーム)の現実化が少しずつ進んでいる。先進的なハウスメーカーは、通信事業者や設備機器メーカー等と共同で研究開発し、行政との連携による実証事業で必要な技術の検討や課題抽出を進めてきた。

コネクティッド・ホームの普及で、複数のIoT機器が有機的につながり、AIを活用して家庭内で得られたデータから新たなサービスを提供することにより、「増加する高齢者世帯の生活支援」「共働き夫婦の家事効率化」「自然災害対策」など国内の住環境の課題解決が期待されている。

本事業では、建築・機械・IT系専門学校においてコネクティッド・ホーム構築・維持・普及を担う中核的人材を養成するために必要な教育内容を、ハウスメーカー、住宅設備や家電メーカー、組み込みソフトベンダー、セキュリティ対策企業等と連携して研究し、その教育プログラムの開発を目指す。

II)学習ターゲット、目指すべき人材像

建築や設備の設計・施工・保守やIoT機器の設置・保守等に携わる技術者に、コネクティッド・ホームの構築・維持に必要な知識・技術、普及・拡販につながる提案力、普及を阻害するセキュリティ障害等の解決力を授け、分野の安定成長に貢献する中核的人材に育成する。

(2) 当該教育カリキュラム・プログラムが必要な背景について

あらゆるものがインターネットでつながる世界では、製品供給者が想定や把握できない課題が発生する。システムが日々刻々と変化し、接続される機器の種類や個数が膨大になり、サービス企業やユーザーが製品供給者の想定外のつなぎ方・使い方をする可能性もある。1つの製品の不具合や異なる分野の製品との複合的な接続による相互作用が、多方面に悪影響を拡大することや相手の信頼性レベルの低下につながるなど、予測が困難という不安も発生する。

IoT技術の発展・普及は日進月歩であり、時間の経過とともに安全安心は劣化していくが、それが組み込まれている機器の利用は10年以上の長期にわたるのが普通であり、様々な環境でいろいろな人が利用する。

IoT技術がベースとなるコネクティッド・ホームの普及は、Sociaty5.0の実現の大きな柱のひとつと期待されているが、日本はまだ黎明期段階であり、今後の進展はそれを現場で支える人材の養成にかかっている。本事業で開発する教育プログラムは、上記の課題の解決を目指すものである。

(3) 開発する教育カリキュラム・プログラムの概要

i)名称

コネクティッド・ホーム技術者教育プログラム

II)内容

●コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム(令和1年度開発済)
家庭内の各機器や設備を自動制御や遠隔操作でコントロールすることにより、快適な住環境の実現と生活者のニーズに合わせた様々なサービスを充実するためには、センサーや各機器をネットワークで「つなげる」ことが必要である。現在、IoTを組み込んだ設備や機器間の「つながり」については、通信やコントロールの仕組みの標準化が遅れており、その隙間を埋めてスマホやAIスピーカーとの連携を進める装置が数多く提供されている。このような設備や機器、装置を使ってコネクト環境を構築するためには、インターネットやLAN、通信、センサー、プログラミング、ウィルス対策等、多岐にわたるICTの基本的な知識と技術の習得およびコネクト技術の標準化やオープンイノベーションの方向性の把握が必要である。設備や機器、通信装置等のハードウェアおよびソフトウェアメーカーとの連携や、オープンイノベーションを進める研究機関、IT系の専門学校の協力を得て、コネクト環境の構築・維持に携わる中核的技術者を育成する教育プログラムを開発した。
・ポリシー:
受講対象者がICTの専門家を目指しているわけではないことから、ICTの知識・技術のレベルの深さは求められないが、基礎的な幅広い知識・技術とそれを応用する力が求められる。また、これらの教育に割ける時間が多く取れないことから、効率よく短時間に多岐にわたるICTの必要な部分を、網羅的・体系的に整理し、関連性を判りやすく提示して、楽しく学べる教育プログラムを目指した。
・概要:
家の中の設備、家電や什器・備品等の機器、通信装置、センサー等を家庭内ネットワークやインターネットに接続し、それらの自動制御やスマホを使った遠隔制御を行うための技術を、基礎内容から理解し、実践的に応用できるように、また建築関係の授業内容と連携して理解できるように教育することを目指した。
・方法:
基礎的知識の獲得には、別途開発したVOD教材を利用し、実践的な応用力は、チームで行う実験(実習)と協働作業において実際のコネクティッド環境を構築する過程で獲得できるように工夫した。
・技術内容と構成:
インターネット、LAN、ネットワーク接続、クラウド、ユーザーインターフェイス等から、コネクト環境の構築に必要な知識と技術を抽出し、講義と実験(実習)および協働作業を合わせて、1コマ90分を年間30コマ実施する教育プログラムとした。

●コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム(今年度開発)
家の設計・施工に携わる技術者にとって、ユーザーの様々な生活シーンや目的において、利便性の高いサービスの提供や課題の解決の提案を行うためには、IoTを組み込んだ設備や機器を組み合わせて、個々のユーザーが求める要望をどのように実現するかを想像できる能力が求められる。各ハウスメーカーや設備サプライヤーが提供しているICTやIoTを利活用した多種多様なサービスの事例を紹介し、その内容の理解や周辺情報の収集を受講者自らが主体的に進め、それらの知見をもとにコネクティッド・ホームの普及を推進する人材の養成を目的とするアクティブラーニング用教育プログラムを、参画企業及び参画団体の協力を得て開発する。
・ポリシー:
収集した情報をベースに、ICT・IoTの基礎的な知識・技術を応用して有益なサービス等を生み出す想像力・創造力、すなわち「新しい組み合わせを見つけ出す」能力を開発する教育プログラムを目指す。
・概要:
「家事の効率化」「健康管理」「防犯」「エンターテイメント」「資産維持管理」等、様々な生活シーンや目的においてコネクティッド・ホームに求められる要件について、各IoT機器の機能を組み合わせて実現する方法を自ら考え、主体的に提案する力の育成を目指す。
・方法:
コネクティッド・ホームの最近の事例研究を中心に、最新技術の応用や適用方法の工夫を行った際の発想チェンジや論理思考等の内容を理解させ、応用提案力を育成するアクティブラーニング型の教育とする。
・教育内容と構成:
ビッグデータ、ディープラーニングとAI、ロボット、画像認識、スマートスピーカー、ウェアラブルデバイス等の最新技術が、どのようなところでどのように利用されて、どのような価値を生み出しているかを主体的に調べ、コネクティッド・ホームの有益性の向上や課題解決に応用できる知識や方法の獲得を目指して、1コマ90分のアクティラーニングを15コマ実施するワークショップ型の教育プログラムとする。

●コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム(令和1年度開発済)
安全・安心な住環境つくりには、 「住む人の生活・情報を守る」との強い意志が重要であり、その対策の強化を第一に考えなければならない。コネクティッド・ホームのインフラはネットワークであり、そこを流れる情報で全ての機器が制御されていることから、情報セキュリティ面での対策は非常に重要な課題である。情報は目に見えないものだけに、プライバシー情報の漏洩や悪意のサイバー攻撃による機器の誤操作・誤作動等の心配が生じると、コネクティッド・ホームの普及が阻害されることになる。コネクティッド・ホームの構築およびメンテナンスに関わる技術者にとって、情報セキュリティに関しては一定の知識と防御のための技術が必要であることから、IT系専門学校の情報セキュリティ学科の教育プログラムを参考に、IoTや組み込みソフトウェアに関する内容を付加し、ソフトウェア開発に関するセキュリティ対策等不要な部分を削除するなど、参画のIT系専門学校の協力をえて必要十分な教育プログラムに再構築した。
・ポリシー:
設備や機器がインターネットに接続することによってもたらされる脅威を正確に理解し、必要な事前の対策を提案でき、事故が生じていることの発見や、適切な対応ができる要員の育成を目指した。
・概要:
家庭内ネットワークを流れる情報が、悪意のあるサイバー攻撃やハードウェア・ソフトウェアの不具合、人的ミス等によって流出・改ざんされて、設備・機器の誤動作や、個人情報が悪用されるようなことが無いように、「情報セキュリティの仕組み」の構築をはじめ、日常のメンテナンスサポート、人為ミスを防止する「安全対策」のほか、地震や落雷などの自然災害時においてのシステム維持の仕組みなどの基礎的な知識・技術を教育することを目指した。
・方法:
IoT仕様の設備・機器や通信機器のセキュリティ対策の知識、脆弱性の把握、接続された設備・機器で形成されるネットワークシステムのリスク等を、座学およびワークショップ形式の授業を通して学ぶことを目指した。
・教育内容と構成:
基本的な情報セキュリティ対策、サイバー攻撃、プライバシー情報保護対策、物理的脅威対策等に必要な知識・技術を習得する授業と、常にネットワーク全体のリスクマネジメントを行えるような視点の獲得を目指す教育プログラムを開発した。最終目標は、自分で対処できる範囲と情報セキュリティ専門家に依頼する範囲の切り分けができ、専門家に委託する場合は、適切な応急措置、正確な状況報告、緊急性の判断ができることを目指した。教育プログラムは、1コマ90分を15コマ実施する座学及びワークショップ型の教育プログラムとした。

○開発する教育プログラムの関連性
「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」は、家の中の設備、家電や什器・備品等IoTを組み込んだ機器、通信装置、センサーを家庭内ネットワークやインターネットに接続し、それらの自動制御やスマホを使った遠隔制御を行うための技術の獲得を目指すものである。
「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」は、コネクティッド・ホームの構築およびメンテナンスにおいて、「住む人の生活・情報を守る」ためには、情報セキュリティの知識と防御のための技術は最も必要なものであるから、「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」の内容から分離し、特に必要な部分を詳しく教えるために開発するものである。
「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」は、家庭内のIoT機器の接続による相乗効果で、様々な生活シーンや目的において実現する内容を、住宅ユーザーに提案できる力をつけることを目的としている。
家の設計・施工に携わる技術者は、住宅ユーザーに要件確認や設計・施工段階での説明等で直接関わることから、現場で必要なコネクト技術だけでなく、ユーザーへの利便性の高いサービスの提供や課題の解決の提案も求められる。本事業で開発する3つの教育プログラムは、専門学校を卒業する設計・施工の技術者に必要なIoT機器の設置、メンテナンスの技術、普及のための提案力、情報セキュリティの技術とユーザーに安心感を与える知識・説明力等について網羅的な教育を行うためのものである。

○教育プログラムの受講者に関する評価
「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」は、各授業終了後に理解した点、疑問点等のアンケートの提出を義務付けた。実験(実習)は、与えられたIoT機器を設置・設定し、すべてが正常にコネクトされ異常なく動作すること、および教員が作った不具合について、その原因を調査し、適切な対応と復旧ができるかどうか等、課題への取組過程と完了結果をもって成績評価としている。
「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」は、IoT機器のセキュリティ脅威の実例を調べて、脅威の内容および対処方法をレポートで提出すること、および教員が設定した情報流出リスクが存在するコネクト環境の原因追求と、適切な対応と復旧ができるかどうか等の取組過程と完了結果をもって成績評価とした。
「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」は、ワークショップでのアクティブラーニング型授業において、主体的な取組をどのように行ったか、ロールプレイでの提案内容、事例調査のレポートで成績評価を行う。

(4) 具体的な取組

i)計画の全体像

【主な事業】
2018年度(平成30年度)事業のスタートアップ

 ・教育プログラムおよび教材開発に必要な情報収集のための調査
 ・センシングの仕組みを理解するための教育プログラムおよび教材の開発
2019年度(令和1年度)  事業の本格実施
 ・教育プログラムおよび教材開発に必要な情報収集のための追加調査
 ・コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム、コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラムの開発
 ・コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術の教材開発
 ・コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラムおよびコネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術の教材を使った実証講座の実施
2020年度(令和2年度)  事業成果の普及とやり残しの対応
 ・開発した教育プログラムおよび教材の普及と専門学校正課カリキュラムへの反映
 ・開発した教育プログラムおよび教材の社会人教育への適用推進
 ・コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラムと教材の開発
 ・コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教材の開発
 ・本事業で開発した教育プログラムと教材の協力校での実証講座の実施

【詳細】
<2018年度(平成30年度>

【調査】「コネクティッド・ホームの構築に必要な技術」の調査を実施した。
「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」および「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材開発のための基礎情報とするため、4社と1団体にヒアリングを実施した。IoT機器のコントロール仕様、標準化の方向性、国際規格等、インターネット接続方法、セキュリティ対策の手法と実施等の技術について知見を得た。本調査の結果は、2019年度以降において、教育プログラムのカリキュラム内容・教材内容の明確化、補完情報の追加、学習領域・範囲・レベルの設計に活用した。

【教材開発】「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」の教材を開発した。
コネクティッド・ホームの構築・維持、普及・推進の教育プログラムの内容を学習する上で基礎技術・知識となるIoT機器のセンシング技術を学習するための教材として、カリキュラム(15コマ分のシラバス)と教材(受講者用冊子=SenStick の機能とセンシングの基本的な機能の解説、受講者用冊子・CD=mruby/cの解説とサンプルプログラム、受講者用冊子=課題解決型学習のために個人・チームで行う実習と協働作業の課題)および指導書(教師用冊子=課題解決型学習の実施方法および課題の解答)を開発した。本教材は、センサーを組み込んだ機器のソフトウェア開発を行うことで、どのようなデータがどのようなタイミングでどのように取り扱われるのかを理解し、インターネットにつながる機器の基本的機能の理解を進めることを目的としたものである。

<2019年度(令和1年度)>

【調査】「ITやインターネットが適用されているサービスの最近の事例」「インターネットにつながることによる脅威の事例」に関する調査を行った。
「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」および「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材、「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」および「ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教員用指導書>」の教材において、事例紹介として使用する情報を収集するために、ハウスメーカー、設備機器メーカー、家電メーカー、センサー利用部品等への組み込みソフトベンダー等8事例の情報収集を、ヒアリングおよびインターネット・文献から収集した。調査項目は、コネクト環境を利用した最新機器および最新サービスの事例、インターネット接続方法やプロトコル・通信方式の最近の利用例、ネットワーク機器との新しい連携方法の事例、最近の情報漏えいとセキュリティ対策の事例で、各調査項目について、特徴的な事例を選択して分析した。

【教育プログラムの開発①】「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」
家電や什器・備品等の機器、通信装置、センサー等を家庭内ネットワークやインターネットに接続し、それらの自動制御やスマホを使った遠隔制御を行い、コネクト環境の構築・維持を行う技術を学習する教育プログラムとして、カリキュラム・シラバス45時間(1コマ90分を30コマ)を開発した。

【教育プログラムの開発②】「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」
コネクティッド・ホームの構築およびメンテナンスに関わる技術者を対象とした基本的な情報セキュリティ対策、サイバー攻撃、プライバシィ情報保護対策、物理的脅威対策等に必要な知識・技術を学習するため教育プログラムとして、カリキュラム・シラバス25時間(1コマ90分を15コマ)を開発した。

【教材の開発】「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」
「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」の実施で使用する教材として、コネクト技術を概要、建築設備、ICTの視点で取りまとめた。理解を深めるため講義はVOD形式で提供し、5種類の実験・演習を整備し、実習形式の授業展開を可能にした。

【実証①】「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」(平成30年度開発)の教育プログラムおよび教材を使用した集中講座
■日程: 2019 年 8 月 5 日(月)9:20~15:00
2019 年 8 月 6 日(火)9:20~15:00
2019 年 8 月 7 日(水)9:20~15:00
■会場: 大阪工業技術専門学校 6 号館
■対象者:大阪工業技術専門学校在学生(建築設計学科、機械学科の希望者)
17名
■目標:IoT 機器の仕組みを理解するとともにサービスの企画立案をする
■講師:田中 和明、吉岡 信吾、中原 智博

【実証②】「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材の一部を使用した集中講座
■日程: 2019 年 12 月 23 日(月)9:20~16:30
2019 年 12 月 24 日(火)9:20~16:30
2019 年 12 月 25 日(水)9:20~16:30
■会場: 大阪工業技術専門学校 6 号館 621 教室
■対象者:大阪工業技術専門学校在学生(建築設計学科、機械学科の希望者)
8名
■目標:コネクティッド・ホームの概念を理解し、今でもあるコネクティッド・ホーム、今でもできるコネクティッド・ホームについて、給排水・衛生、空調、照明、エネルギー、家電、情報通信等に関する事例をもとに、内容を説明できるようになるとともに、IoTやITの基礎的な知識を習得して、新しい技術を用いて予想される近未来のコネクティッド・ホームについて理解を深め、実際のスマホやAIスピーカー、機器やセンサー等を使ってコネクティッド環境の構築を行えるようにする
■講師:中野秀男、村岡正和、阿部恭巨

<2020年度(令和2年度>
次ページ以降に記載

II)今年度の具体的活動

【基本方針】 
過去2年間で開発した教育プログラムおよび教材を、専門学校のカリキュラムに採り入れるための普及活動を積極的に行う。特に、建築系専門学校は国土交通省の資格取得を目指すカリキュラムにどのように組み込むかを専門学校教員および大学の委員とで研究する。
また、これらの教育プログラムと教材は、現場の技術者を対象とした最新技術の研修内容として利用できるとの企業委員からの指摘があったので、社会人研修プログラムとして実証してみる。
当初の計画で予定している教育プログラムと教材は、昨年の実証講座の振り返りと委員からの意見を取り入れて、必要なものを開発する。また、過去2年間で開発した教育プログラムと教材は、実証授業での振り返りをもとに改良・改善を行う。

【開発①】「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラムと教材」
営業やプレゼンテーションを行うために必要な知識や方法を学ぶためのワークショップベースの教育プログラムとして、カリキュラム・シラバス25時間(1コマ90分15コマ)を開発する。
具体的には、ハウスメーカーや設備メーカーのコネクティッド・ホームに関する商品やサービス、技術の現状や今後の動向を紹介し、その情報をベースにどのような営業につなげるか、具体的なプレゼンテーション作りについて、アイデアソンを中心としたワークショップを実施して、具体的な成果作りを体験する。
教材は、商品やサービス、技術の現状や今後の動向を紹介する部分をパワーポイントとVODで作成する。また、上記の紹介内容をベースに、グループごとにテーマを与え、目標を設定させて、一定の成果物(プレゼンテーションや企画等)を作らせ、発表と振り返り・質疑応答のファシリテーション教材を教員指導書「ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教員用>」として作成する。

【開発②】「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教材」
「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」の授業実施に適切な教材が無かったことから、教育プログラムに合わせた内容でVOD教材を開発する。

【改良・改善①】「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」
VODで使用するプレゼンテーション資料のわかりやすさ向上のために、解説文章とイラストを見直す。

【改良・改善②】「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」
社会人教育用として、1コマ90分の16コマの教育プログラムに再編集する。

【改良・改善③】「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」の教育プログラム
社会人教育用として、1コマ90分の8コマの教育プログラムに再編集する。

【実証①】「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」を利用した社会人向け講座
建築や設備の設計・施工・保守、IoT機器の設置・保守等の技術者を対象に、協力専門学校、企業、業界団体で受講者を募集し、土日の2日間(8コマ)で実施する。(大阪で1回)

【実証②】「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材の一部を使用した社会人向け講座
建築や設備の設計・施工・保守、IoT機器の設置・保守等の技術者を対象に、協力専門学校、企業、業界団体で受講者を募集し、土日の4日間(16コマ)で実施する。(大阪で1回)

【実証③】「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」を利用した専門学校生向け集中講座
建築および機械の専門学校生を対象に、協力専門学校で集中講義を実施する。長期休暇を利用して3日間(12コマ)で実施する。(東京、大阪、福岡各1回)

【実証④】「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材を使用した専門学校生向け集中講座
建築および機械の専門学校生を対象に、協力専門学校で集中講義を実施する。長期休暇を利用して5日間(20コマ)を標準にして、実施校の事情に合わせた日数で実施する。(東京、大阪、福岡各1回)

【教員研修】「ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教員用>」教材を利用した教員研修
本校、協力校および全国工業専門学校協会加盟校の教員を対象に、1日間(4コマ)の教員研修会を実施する。(東京で1回)

【会議】
●実施委員会
回数:3回(事業開始時、中間、事業終了時)
場所:大阪
●開発委員会
回数:5回(事業開始時、中間3回、事業終了時)
場所:大阪
●評価委員会
回数:1回(事業終了時)
場所:大阪

【成果報告】
●成果報告会
時期:令和3年2月
場所:東京
●Webサイト
開設時期:中間
運用:適宜情報公開

○事業を推進する上で設置する会議

会議名①実施委員会
目的・役割事業の方針策定、進捗の管理、予算執行管理、成果の普及
検討の具体的内容・受託機関および協力専門学校・企業・団体の責任者で構成
・事業計画の承認および全体の方向性の確認
・開発・実証事業の進捗状況および会計等事務処理の監督
委員数      15人開催頻度3回

実施委員会の構成員(委員)

No所属・職名役割等都道府県名
大阪工業技術専門学校統括大阪府
専門学校東京工科自動車大学校 中野校実証東京都
名古屋工学院専門学校 講師/一般社団法人TukurouneMono振興協会実証支援愛知県
大阪市立大学 名誉教授開発支援大阪府
奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科 准教授開発支援奈良県
九州工業大学 情報工学研究院 機械情報工学研究系 准教授開発支援福岡県
パナソニック株式会社 エコソリューションズ社技術本部 R&D企画室オープンイノベーション企画部産学連携協力大阪府

積水ハウス株式会社 設計部
大阪設計

産学連携協力大阪府
株式会社ケイ・アイ・エス開発支援・産学連携大阪府
10株式会社三興社 総務部開発支援大阪府
11株式会社ユニバーサル・サポート・システムズ 実施・開発大阪府
12一般社団法人Rubyビジネス推進協議会開発協力大阪府
13公益社団法人日本建築家協会近畿支部産学連携大阪府
14一般社団法人全国専門学校情報教育協会実施・評価支援東京都
15一般社団法人全国専門学校情報教育協会実施・調査開発支援東京都

○事業を推進する上で設置する会議

会議名②開発委員会
目的・役割教育プログラム開発、教育領域・範囲・レベルの設計、検証の確認、成果の活用の設計、IT分野人材育成協議会との連携
検討の具体的内容・開発方針検討・提案、・開発仕様の検討、・開発業者選定
・教育カリキュラム開発、・教育教材開発
・教育プログラム、教材の普及および実授業への展開
・IT分野人材育成協議会との連絡・協議、情報共有
・実証検証の企画運営
委員数9 人開催頻度5 回

実施委員会の構成員(委員)

No所属・職名役割等都道府県名
大阪工業技術専門学校 ロボット・機械学科委員長大阪府
大阪工業技術専門学校 設備環境デザイン学科 教員開発大阪府
株式会社ユニバーサル・サポート・システムズ 開発大阪府
名古屋工学院専門学校 講師/一般社団法人TukurouneMono振興協会実証支援愛知県
大阪市立大学 名誉教授開発支援大阪府
九州工業大学 情報工学研究院 機械情報工学研究系 准教授開発支援福岡県
一般社団法人Rubyビジネス推進協議会開発協力大阪府
一般社団法人Rubyビジネス推進協議会開発協力大阪府
一般社団法人全国専門学校情報教育協会開発支援東京都
○事業を推進する上で設置する会議
会議名③ 評価委員会
目的・役割 教育プログラムの検証、実証講座の評価
検討の具体的内容 ・実証講座の評価企画 ・認定試験等の手配と結果の確認 ・評価担当者選定と評価項目、基準の設計 ・評価結果のフィードバックと成果への反映検討
委員数 3  人 開催頻度  1 回
実施委員会の構成員(委員)
No 所属・職名 役割等 都道府県名
一般社団法人全国専門学校情報教育協会 評価方針設定 東京都
公益社団法人日本建築家協会近畿支部 評価担当者選定 大阪府
経済産業省近畿経済産業局地域経済部次世代産業・情報政策課 評価協力・助言 大阪府
○開発に際して実施する実証講座の概要
実証講座①   「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」を利用した社会人向け講座
実証講座の対象者 建築や設備の設計・施工・保守、IoT機器の設置・保守等の技術者
期間(日数・コマ数) 土日の2日間(1コマ90分授業を8コマ)
実施手法 協力専門学校、企業、業界団体を通じて、建築設計業界で活躍している社会人を対象に受講者を募集し、主幹事校(大阪)で実施する。 内容は、平成30年度に開発した教育プログラムを8コマに再編して、グループでの実習を中心に座学でそれに必要な知識習得を行う研修を実施する。
想定される受講者数 10名
実証講座②   「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材の一部を使用した社会人向け講座
実証講座の対象者 建築や設備の設計・施工・保守、IoT機器の設置・保守等の技術者
期間(日数・コマ数) 土日の4日間(1コマ90分授業を16コマ)  
実施手法 協力専門学校、企業、業界団体を通じて、建築設計業界で活躍している社会人を対象に受講者を募集し、主幹事校(大阪)で実施する。 内容は、令和1年度に開発した教育プログラムを16コマに再編して、グループでの実習を中心に座学でそれに必要な知識習得を行う集中講座を実施する。
想定される受講者数 10名
実証講座③   「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」の教育プログラムおよび教材の一部を使用した集中講座
実証講座の対象者 主幹事校および協力校の在学生
期間(日数・コマ数) 3日間(1コマ90分授業を12コマ)  
実施手法 主幹事校(大阪)および協力校から2校で実施する。 内容は、平成30年度に開発した教育プログラムを、グループでの実習を中心に座学でそれに必要な知識習得を行う集中講座を実施する。
想定される受講者数 10名/1校
実証講座④   「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材の一部を使用した集中講座
実証講座の対象者 主幹事校および協力校の在学生
期間(日数・コマ数) 5日間(1コマ90分授業を20コマ)を標準とし、実施校の事情により3日間(1コマ90分授業を12コマ)以上の日程で実施する。  
実施手法 主幹事校(大阪)および協力校から2校で実施する。 内容は、令和1年度に開発した教育プログラムを実施校が希望する日数のコマ数に再編して、グループでの実習を中心に座学でそれに必要な知識習得を行う研修を実施する。
想定される受講者数 10名/1校
 
Ⅳ) 開発する教育カリキュラム・プログラムの検証

●実証講座参加者の評価
実証講座に参加した者に習得目標とする知識・技術を提示し、受講後にその理解度・定着度を受講者の自己評価および相互評価により確認する。評価結果を基に、教育プログラム、教材、講師、期間(講義時間)、前提知識等がどの程度影響したかを調べる。

●事業に参画する企業・業界団体等又は第三者である企業・団体等からの評価
評価委員会が、事業に参画する企業・団体および連携するIT分野人材育成協議会に参画する企業・団体等から検証メンバーを選出し、実証講座の内容、教育カリキュラム、教育教材等の内容及び評価手法による受講者の評価結果を基に、学習成果を取りまとめる。

<評価項目>
・教育カリキュラムで想定した教育目標を達成した受講者の割合
・教材の内容を理解できた受講者の割合
・演習課題を解答できた受講者の割合
教育カリキュラムの時間数、教育目標、教育手法、評価項目、評価基準、評価手法により数値化する。

<評価の体制>
評価委員会のメンバーおよび事業に参画する企業・団体および連携するIT分野人材育成協議会に参画する企業・団体の委員により構成する。

<評価の方法>
教育カリキュラムの時間数、教育目標、教育手法、評価項目、評価基準、評価手法による数値を基に検討、協議する。

(5) 事業実施に伴うアウトプット(成果物)

●平成30年度(2018年度)
・調査報告書
・教育カリキュラム(シラバス)
センシングの基本を学ぶ科目(15コマ分のシラバス)
・教育教材
受講者用冊子=SenStick の機能とセンシングの基本的な機能の解説
受講者用冊子・CD=mruby/c の解説とサンプルプログラム
受講者用冊子=課題解決型学習用の個人・チームで行う実習と協働作業の課題
教師用指導冊子=課題解決型学習の実施方法および課題の解答

●令和1年度(2019年度)
・調査報告書
・教育プログラム
「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」 
カリキュラムと45時間(1コマ90分で30コマ)のコマシラバス
「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」
カリキュラムと25時間(1コマ90分で15コマ)のコマシラバス
・教育教材
「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」
技術解説および演習課題を収録したVOD

●令和2年度(2020年度)
・教育プログラム(シラバス)
「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」
カリキュラムと25時間(1コマ90分で15コマ)のコマシラバス
到達度目標・受講者評価方法
・教育教材
「ワークショップで利用する事例とファシリテーション<教員用>」
「コネクティッド・ホームの普及を推進する人材を育成する教育プログラム」の教育プログラム実施で利用する事例紹介とそれをベースに実施するワークショップ運営方法を掲載
事例(5事例を予定)+ワークショップのテーマ・目標・課題等を収録したVOD
「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得」のための教材
「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」の授業実施に適切な内容を掲載
技術解説および演習課題を収録したVOD

(6) 本事業終了後

●令和2年度(2021年度)
・集中講座の実施
主幹事校および協力校において、
①「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材の一部を使用した集中講座(単位発行)を実施する。
②「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」の教育プログラムおよび教材の一部を使用した集中講座(単位発行)を実施する。
・社会人研修の実施
主幹事校において、
①「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」と「コネクティッド・ホームの構築に必要なコネクト技術」の教材の一部を使用した社会人研修(修了証書発行)を実施する。
②「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」の教育プログラムおよび教材の一部を使用した社会人研修(修了証書発行)を実施する。

●令和3年度(2022年度)
・主幹事校において、一部を正課科目の授業内容に取り入れて実施
「コネクト環境の構築・維持を行う技術者教育プログラム」「センシング装置を使った組み込みソフトウェア開発」「コネクティッド・ホームのセキュリティ脅威に備える知識習得のための教育プログラム」と付随する教材(VOD)を複数の科目の内容に取り込んで、開発成果物の一部であるが活用する。
・主幹事校において、社会人研修や新入社員研修等で実施