令和2年度「専修学校リカレント教育総合推進プロジェクト」

事業内容の説明

事業の内容等

(1) 事業の趣旨・目的等について

i)事業の趣旨・目的を追加

技術進展が激しい情報産業において、現役技術者(ITエンジニア)は、常に最新技術の習得が必要であるが、人材不足等で集合研修受講に出向く時間の確保や開発現場を留守にすることができず、時間拘束の伴う通学での集合研修会受講は難しいのが現状である。一方、通学の必要のないeラーニングは、システムの導入・運用等が高額であるとともに技術教育には比較的不向きであるという課題がある。

本事業では、ITエンジニアを対象にeラーニングを活用した社会人の学び直し講座を、比較的安価に開設するため、

①オープンソース系オーサリングツール等を利用し、数分間程度の細小単元ごとにコンテンツを作成することで修正作業を簡単にし、映像コンテンツの作成・更新を安価にできる工夫を用い、
②受講者管理等については、既存の仕組みの活用を想定し、YouTube等の利用も検討してプラットフォームにかかるコストを大幅に削減し、
③協力団体を通した受講者の募集活動を行い、募集にかかる費用の削減等をとりまとめ、
④映像コンテンツとスクーリングの効果的な組合せによる講座のeラーニング活用ガイドラインを作成する。

ガイドラインには、学習の仕組みと講座運営(学習者管理)、eラーニングとスクーリングの設計、学習目標の設定および効果の計測、講座実施・運営費用等の課題及び手法を検討・協議して取りまとめる。
検討・協議した結果をもとに、講座を開設し、検討事項の整理、講座開設の効果を検証する。具体的には、ITエンジニアを対象に新たな開発手法であるアジャイル開発技術を学習するeラーニングとスクーリングによる共同作業等を組合せた講座を開設し、ガイドラインの検証と運営方法や学習効果の計測等の課題・改善点を整理する。
事業成果を普及し、eラーニング活用ガイドラインをモデルに、社会人学び直し講座の開設の促進と、専門学校におけるリカレント教育の普及を目指す。

II)学習ターゲット、目指すべき人材像

ターゲット:現役(新人、中堅)の情報システム開発技術者(ITエンジニア)。

目指すべき人材像:アジャイル型システム開発技術を用いて情報システム開発を実践できるITエンジニア

(2) 社会人の学び直しが進んでいない課題及び本事業における取組の必要性について

本学教員の参画した平成29度事業(「成長分野等における中核的専門人材養成等の戦略的推進」の「クラウド・スマートデバイス時代の地域版社会人教育プログラム開発と実証」=学校法人吉田学園・吉田学園情報ビジネス専門学校)において、平成28年度・29年度に開発した教育プログラムと教材(中級・上級)を使って実証講座(中級=札幌・上級=大阪、ともに9日間72時間)を行った。各企業への告知段階や研修内容の説明会では非常に高い関心と多くの受講希望があったものの、実際の参加者は両実証講座とも数名にとどまった。

参加希望者の多くが第一線のシステム開発現場に配属され、一定の開発作業がスケジュール的に割り当てられていることから、2週間という長期間にわたり現場を留守にすることが不可能であったことが主な理由であった。

一方、通学の必要のないeラーニング講座開設には、学習管理システムの導入・運用・保守、eラーニングコンテンツの作成、学習の進捗状況把握から学習指導・管理等多くの手間と費用が掛かかるため、受講者の数が見込める講座以外は、取組みが進まない状況にある。特に、技術革新のスピードが速く、習得したい技術内容の陳腐化を避けるために教育コンテンツの更新作業が欠かせないIT分野はなおさらである。また、eラーニング講座は、知識の学習には適している仕組みであるが、技術習得を目標とすることは難しく、学習者の到達希望レベルとのギャップや演習課題の与え方、学習評価等に課題を抱えている。さらに、大学等の学生を対象とした学習マネジメントシステム(LMS=Learning Management System)は、ID発行、同時アクセス数の設計(サーバーや回線の容量)、保守対応の時間帯、セキュリティ等の観点から準備や運用に多額のコストがかかり、受講者数が少なく個別ニーズが多様化している社会人の学び直し講座にはそのままでは不向きなものが多く、学習機会の提供や運営方法を考慮した工夫が必要である。

以上のことを鑑み、IT技術者の学び直しについて、技術習得および定着を目的とするスクーリングを併用したeラーニングによる学び直し講座を、コンテンツの制作からLMSの選定と運用、学習者支援、スクーリングまで、一連の要素を実証して知見を得ることが重要であると考えた。IT技術者の学び直しのための実践的な技術習得を目的とするeラーニング教材や参考書籍がほとんど存在しない現状において、従来型の高価でオーバースペックなLMSに頼らず、eラーニング講座の開設から運用手法を、MOOCS等の映像授業の仕組みやYouTube、SNS等の一般的な仕組みの活用を参考にして、または利用して構築し、比較的安価に有効なeラーニング講座を実施する方法を検討・協議し、実際に運用する。

eラーニングとスクーリングを組合せたIT技術習得を目標にした社会人学び直し講座を開講し、開設に向けた各種検討事項の整理、課題の把握、開設の効果を検証し、その結果を公開、共有することで、これまで社会人学び直し講座を実施しなかった(できなかった)専門学校や実施に課題を抱える多くの専門学校が、社会人学び直しの推進につなげることができ、地域の広がりや卒業生を含めた受講対象者の拡大が図れ、専門学校の社会的役割の認知と評価を高め、リカレント教育の展開につなげることができるようにしたい。

(3) 社会人の学び直し講座の概要

個人単位の学習や演習で可能な知識・技術獲得は、受講者がいつでもどこでも視聴できる映像コンテンツで行い(eラーニング) 、ハッカソンやアイデアソン、モグプログラミン等のチームで行う共同作業については、時間・場所の制約を必要最小限に工夫したスクーリングで行うことによって、忙しい現役技術者への研修機会の提供を図る。映像コンテンツの受講に対する学習管理や質問対応、モチベーションの維持等のフォローには、LMSやチャット、Slackグループ等ネット上の適切なツールの利用を検討する。また、スクーリングに関しても、遠隔地からの移動経費や時間の負担軽減のために、テレビ会議システム等を利用したスクーリング参加の可能性を検討し、空間的な制約の軽減を目指す。

○本事業で整理するべき事項

●対象者の範囲
学習者のレベルと前提知識の検討、学習希望者の受講前レベルの計測と受講レベルに達していない学習希望者への対応の検討
●教育の設計
教育目標・教育領域の設定、教育項目・教育手法・評価項目・評価手法の設計、時間数・コマシラバスの設計、前提知識・能力の設計、改善の仕組み
●映像コンテンツ
映像コンテンツでの学習内容の設計、オーサリングツール、作成方法、ファイル形式、公開方法等の検討
●学習者の管理
学習進捗状況の把握方法、在籍状況の確認方法、学習レベルの計測方法
●講座運営
システムに関する問合せ対応(ヘルプデスク)、学習内容への質問対応、学習継続の支援方法の検討
●学習成果の計測
学習履歴の把握方法、学習成果の計測方法(評価項目・基準と方法)
●スクーリング
スクーリングの学習内容の設計、スクーリングの指導方法、
映像授業とスクーリングの役割と内容の検討(カリキュラムのバランス設計)
●対象者の募集方法
学習希望者への告知チャネルの検討、受講に対するモチベーションの設計
●学習期間の設計
標準的な学習期間の設計、モチベーションのバランス設計
●学習用端末
機器(PC、タブレット、スマホ)、対応するOS、ブラウザ、スペック等の検討、
実習環境の構築
●受講の手順
受講開始時の学習者の登録等マニュアル化の検討
●実施費用
映像コンテンツ作成費、システムを使用する場合の改修・設定・保守・運用費、講座運営費用(学習内容への質問対応、受講・システムに関する質問対応)、スクーリング費用(講師料、場所・運営費用)
●講座の成果・効果の評価
 項目、基準、評価方法
●講座内容の見直しと更新
 サイクル、費用、内容評価の方法
●学習方法・教授方法

○eラーニングを活用する講座の全体像

●講座概要
・対象者
  現役の情報システム開発技術者(ITエンジニア)(中・上級)
・学習目標
  アジャイル型システム開発技術(中・上級)の習得
・講座内容
  映像コンテンツで個別に学習・演習を行うeラーニングと、集合して共同作業を通じて学習するスクーリングとの組み合わせ
●eラーニング
・開設プラットフォームの種類とコンテンツの提供手法
無料(または安価な)LMSおよび映像コンテンツ配信ツール or YouTube等の利用(予定)
・期間/分量
映像コンテンツ(初級6時間、中級20時間、上級20時間)
<初級>
課題のプログラミングを通じてプログラム言語およびアジャイル開発の基礎の習得を目指す
学習内容:
アジャイル型システム開発の概要及びオブジェクトやメソッドの概念、各クラスの使い方などアジャイル型システム開発に使用するプログラム言語(Ruby)の基本を学習する。
※中級の内容を学習する際に、「アジャイル型システム開発とは何か」であるとか、プログラムコーディングにあたり、プログラム言語そのものを教えなければならないような状態を回避し、中級で学ぶべき内容をスムーズに理解できる知識・技術を習得する。
<中級>
アジャイル型システム開発手法理解と課題演習による技術修得を目指す
学習内容:
Rubyの特徴とアジャイル型システム開発の手法、Rubyによるソフトウェア開発と開発環境構築、コードブロックと反復、データベース、インターネットサービスの構築、Ruby on Rails(RoR)によるアジャイル開発、RoRの開発環境構築、RoRの開発プロジェクトの構築、テスト環境のセットアップ、ビュー開発、モデル開発、コントローラー開発、ルーディング、テスト
※開発工程の基本的な手順や各工程の実施事項について実際のプログラミング及びシステム開発を通して学習し、アジャイル型システム開発手法の工程を理解しているレベルを学習目標とする。
<上級>
実践的なアジャイル開発手法の理解と課題演習による応用技術修得を目指す
学習内容:
クライアント側のシステム開発、高度なRoRの機能を利用したシステム開発、トランザクションと排他ロック、顧客管理システム開発
※実際のアジャイル型システム開発を通して、実務的な情報システムが開発できるレベルを学習目標とする。
●スクーリング
・開講/場所
日時および開始/終了時間・回数(未定)、場所(大阪市内を予定)     
・期間/分量
講師がファシリテートする形式の協働作業によるアクティブラーニング(中級2日間16時間程度、上級2日間16時間程度)
・内容
<中級>
協働作業による実践的システム開発が中心(チームを組んでアジャイル型システム開発手法を用いたシステム開発を行う)
※eラーニングで学習してきたアジャイル型システム開発手法を用いて、実際の業務に即した情報システム開発を学習する。特にこれまで個人で学習してきた内容を、チームを組んで他者との協働作業の中で行い、知識・技術の定着を図ることを学習目標とする。
<上級>
ハッカソンやアイデアソンを中心とした協働作業(演習課題で規定される要件に対し、システムの機能や処理方法、システム要件等の企画・設計段階からの提案をまとめ、アジャイル型システム開発による情報システム開発をチーム協働作業で行う)
※チーム協働作業により実務レベルでアジャイル開発を用いたシステム企画・設計、開発、実装ができるレベルを学習目標とする。
●eラーニングとスクーリングの棲み分け
・eラーニング:個人単位で受講可能な知識獲得や実習(演習課題の実施)
・スクーリング:協働作業を通して演習実習や課題解決を目指すもの
●学習者管理(進捗・履歴等)
・eラーニング:LMSおよび実習課題、課題レポートの提出での進捗管理
・スクーリング:出席管理
●学習評価手法
・eラーニング:小テストおよび実習課題解答
・スクーリング:出席および成果物で評価
●受講者サポート
・eラーニング:
ファシリテータ(講師)および受講者同士で構成するチャットグループ等での相互サポート
・スクーリング:
参加者同士のサポートおよび講師のファシリテーション

(4) 具体的な取組

i)計画の全体像

平成30年度
●調査・研究
・先行事例調査
映像授業の効果や受講者管理の方法、制作費用・運用費用等を調査し、eラーニング講座開設に活用するために、通信教育課程を持つ大学やMOOCSを利用している大学、eラーニング講座を開設している企業等への10事例程度へのヒアリングを行い、結果をeラーニング活用ガイドラインの各項目の課題の明確化及び検討・協議の資料として反映した。
●開発
・eラーニング活用ガイドラインの作成
平成30年度は課題の整理等、十分な検討・協議が行えなかったため、令和1年度以降の作成開始に変更した。
・映像コンテンツ
アジャイル型システム開発初級・中級コンテンツを作成した。
●実証講座(初級・中級)の実施
映像コンテンツ作成、課題の整理・検討状況、受講者募集活動時期の関係で、平成30年度実施は見送り、令和1年度の実施を準備した。
●講座受講者募集説明会の実施
実証講座の次年度延期のため受講生募集も未実施とした。
●成果普及のための本事業Webサイトの作成
本事業の事業計画、会議議事録、実証講座実施報告、成果物を公開し、事業成果の告知と活用の推進、次年度以降の参画機関の拡大を目指した。

令和1年度
●調査・研究
・先行事例調査
ガイドラインの協議検討事項や実際の実証講座における課題等の対応の参考とするため、eラーニングとスクーリングを組合せた講座の事例から課題解決のヒントや対応策を検討し、ガイドラインに掲載するために、主にeラーニングとスクーリングを組合せた講座の事例を調査した。
●開発
・eラーニング活用ガイドライン(中間成果物)の作成
平成30年度と令和1年度の調査結果を盛り込むとともに、令和1年度に実証したe ラーニングとスクーリングを組合せた講座内容の精査をして、ガイドラインの中間成果物に組み入れた。
その結果、ガイドラインの内容(中間成果物)は、映像コンテンツ作成方法、映像配信の方法、スクーリングの内容、学習進捗管理方法、学習成果の計測・方法、e ラーニング運営方法、e ラーニング運営費用等、低コストで開発・実施できる新たな「e ラーニングとスクーリングを組合せた講座」の実施手法および課題等をまとめたものとなった。講座開設効果の計測(受講人数の結果等)、学習目標と実際の学習効果の計測結果比較、e ラーニング運営費用のまとめも、できる限り内容に含めるものとして、次年度のガイドライン完成にうまくつなげることができた。
・アジャイル型システム開発上級教育プログラム
社会人の学び直しを対象とした技術習得は、企業の求める実務レベルの技術研修に見合う講座でなければ技術者教育には用いられないため、eラーニングとスクーリングを併用した講座で技術習得が可能であることを実証して、企業や現役の IT 技術者の積極的な講座受講を促進するための教育内容や評価手法等を作成した。
具体的な内容は、映像コンテンツ(20 時間)と演習課題と解答(4課題)であった。
・アジャイル型システム開発初級・中級映像コンテンツ(改善・改良)
平成30年度に準備した映像コンテンツを利用したアジャイル型システム開発(初級・中級編)のe ラーニング実証講座運営を通じて得られた受講者からの評価をもとに、コンテンツおよび配信方法の改良・改善を行い、受講継続や学習効果の向上につながる知見をe ラーニング活用ガイドラインの内容に反映させた。
●実証講座
・アジャイル型システム開発(初級・中級編)eラーニング講座
一般社団法人Rubyビジネス推進協議会やハイテクノロジー・ソフトウェア開発協同組合(HISCO)の事務局の協力を得て、会員企業や組合員に講座案内を送り、受講者を募った。
24名の受講申し込み者を得、講座説明会を10月15日に実施した。内容は、eラーニングの受講環境(Slack、LMS)および実習環境(AWS、Cloud9、Github)の各自持参したノートPCへの構築・設定と受講上の注意等のオリエンテーションであった。受講者の内18名が参加し、欠席者には、別途Slackで指導した。
eラーニングは翌日から配信し、受講者の進捗管理はLMSで、質問等へのフォローはSlackで、ファシリテータが平日決まった時間に行った。
スクーリングは11月30日13時から18時までに行った。参加者は6名。
内容は、アジャイル開発とは(ウォーターフォール懸念点、アジャイルソフトウェア開発とは、アジャイルのポイント、イテレーティブな開発、変更コスト、アジャイルを支えるプラクティス XPとScrum、様々なプラクティス)、プロジェクト管理(アジャイルでのプロジェクト管理、マコネルの不確実性コーン、計画策定、プロダクトバックログ、スプリントバッグログ、見積)、ワークショップ(プロダクトバックログでの見積 タスクボード・バーンダウンチャート・ベロシティ計測、スプリントバッグログでの見積)、開発を支援するツール(Slack Wiki、Trello Redmine、Jenkins CircleCI)、管理(ガントチャート、タイムボックス、ウォーターフォールとアジャイルのプロジェクト管理の違い)であった。
・アジャイル型システム開発(上級編)eラーニング講座
初級・中級編のスクーリング受講者6名と新たな受講申込者2名の計8名を対象に開講した。
講座説明会は、11月30日の午前に行った。内容は、上級コース受講に必要なスキル、スクーリング、受講期間、コミュニティの活用についてと、受講環境のインストール、例題の解説と実行による環境設定確認等であった。
eラーニングは即日配信し、受講者の進捗管理やフォローは初級・中級編と同様にファシリテータが平日決まった時間に行った。
スクーリングは、受講者の進捗状況により、令和2年度は実施しなかった。
 
令和2年度
次項目に記載

II)今年度の具体的活動

○実施事項
●開発
・ eラーニング活用ガイドラインの作成
前年度にまとめた中間成果物に、本事業で行った映像コンテンツやLMSの開発、eラーニング講座の開設・運営、スクーリングの実施等で得られた具体的な知見を付加して、eラーニング講座の運営ガイドライン(完成版)を取りまとめる。
特に、社会人技術者を対象とした学び直し(リカレント)講座開設のためのマニュアル(手順書)として、具体的な実施事項を解説したものとして、新規に講座を開設する教育機関が参考にできるマニュアルとして活用を促進し、講座開設の取組み拡大を目指す。
・LMSの改良
令和1年度の実証講座の振り返りで、映像コンテンツの配信順序の変更がより学習効果の向上につながる可能性が指摘されたが、それには映像コンテンツの再編集を行うか、LMSの修正を行うかのどちらかで対応することができる。コスト的に、LMSの修正の方が安価に済むことと、運用に柔軟性が増すことからので、その対応を行う。
・スクーリング用シラバスの見直し
昨年度の振り返りをもとに、アジャイル型システム開発(初級・中級)eラーニング講座の3回分のスクーリング用シラバスと資料、アジャイル型システム開発(上級)eラーニング講座の第1回目のシラバスと資料を改良する。
・スクーリング指導書の作成
スクーリングを効果的に行うための指導方法を解説し、指導者の育成に資するものを作成する。内容は、eラーニング講座(初中級・上級)でのスクーリング運営、シラバスや資料等の作成や準備において得られた知見をまとめ、指導方法と効果の計測についても付加したもので、スクーリングにおいて教育目標・習得技術目標の達成者の増加につながるものを目指す。
●実証講座
・ アジャイル型システム開発(初級・中級)eラーニング講座の開講
Rubyビジネス推進協議会会員企業の新人教育として実施を予定する。家庭での学習で、受講時間は休日が中心となり、平日は夜となると想定される。
期間は、7月中旬から8月一杯。内容は、Rubyの学習→アジャイル開発の知識→Ruby on Railsの順で学習を進めることにし、学習の順序の変更に伴う学習管理機能(LMS)の修正を行う。
スクーリングは3回(6時間程度/回)実施する。第1回目は、受講開始時で、 オリエンテーション(受講メンバーの顔合わせ・自己紹介、アイスブレーキング)、 受講環境およびRuby実習環境の構築、実習環境を使ったRubyプログラミングの入門の受講および実習とする。第2回目は、Rubyの学習とアジャイル開発知識の受講後に行い、eラーニングでマスターしたRubyプログラミングの総括、受講したアジャイル知識の確認、Ruby on Rails実習環境の構築、実習環境を使ったRuby on railsでの開発(入門的なもの)とする。第3回目は、eラーニングでマスターしたRuby on Railsの実践の総括、ペアプログラミング、モグプログラミング、振り返り、アジャイル開発の実践的理解と技術の定着の確認とする。
受講者フォローとして、受講者には毎日のSlackへの情報アップを義務付け、平日12時から13時の1時間にSlackでの対応をファシリテータが行う。
受講者募集は、Rubyビジネス推進協議会会員企業へ案内する。
前年度より学習継続率と到達レベルの向上を目標とする。
・ アジャイル型システム開発(上級)eラーニング講座の開講
Rubyビジネス推進協議会会員企業の新人(初級・中級講座修了者)およびスキルアップを目指す技術者を対象に、受講前提スキルを明確にして実施する。
期間は9月中旬から3週間(20日間程度の受講を目途とする)、昨年度開講したものを再度開講する。
スクーリングは2回(6時間程度/回)実施する。第1回目は、オリエンテーション(受講メンバーの顔合わせ、アイスブレーキング)、実習環境の構築・確認、実習環境を使ったRuby on railsでの開発(最初の演習課題)とする。第2回目は、アジャイル開発実践(昨年度準備分で昨年未実施の内容の流用)とする。
受講者フォローは、受講者には毎日のSlackへの情報アップを義務付ける。平日12時から13時の1時間、Slackでの質問にファシリテータが対応するとともに、受講者同士がSlack上でフォローし合うことを原則とする。
受講者募集は、Rubyビジネス推進協議会会員企業へ案内する。
前年度より学習継続率と到達レベルの向上を目標とする。
●研修会
・スクーリング指導研修会
開発するスクーリング指導書を用いて、指導者育成の研修会(1日4時間を予定)を開催する。12月頃に東京で開催予定。指導者のレベルアップを図り、スクーリングの実施内容の充実、教育目標達成の受講者の増加を目的とする。対象は、社会人学び直し講座を検討・開設する教育機関および学内でeラーニング活用を検討している専門学校担当者。
●成果の普及
・eラーニングを活用した社会人学び直し講座(リカレント講座)開設のための説明会
社会人学び直し講座においてはeラーニングの活用が有効であり、高い効果があることを実証講座の結果から解説し、成果の普及と実施機関の拡大、eラーニングを活用した講座開設の促進を図る。12月頃に東京で開催(1日4時間程度)予定。
対象は、社会人学び直し講座を検討・開設する教育機関及び社員に受講をさせる企業の人事担当者。
・成果報告会
本事業の成果の普及と活用の促進のために、令和3年2月(予定)、東京において、成果報告会を開催し、3年間の成果をまとめて報告する。
・Webサイトでの情報公開
本事業の成果の普及と活用の促進のために、Webサイトを立ち上げ、本事業の事業計画、会議議事録、実証講座実施報告、成果物を公開するとともに、事業の取組み、事業成果の告知でeラーニングを活用した講座開設をする教育機関の拡大と、講座を受講する技術者の拡大を図る。
●委員会等
・実施委員会 3回開催 8名
事業開始時、事業の中間、成果報告時に開催する。受託機関および協力専門学校・企業・団体、事務局の責任者で構成する。事業計画の承認および全体の方向性の確認、事業の進捗状況の確認と予算執行管理を行う。
・事業実施分科会 5回開催 14名
事業開始時、事業期間中に3回、成果報告時に開催する。受託機関および協力専門学校・企業・団体、事務局の担当者で構成する。調査項目、調査対象、分析方法、eラーニングとスクーリングの教育プログラム、ガイドライン、実証講座の運営方法等を検討協議する
・評価委員会 3回開催 3名
事業開始時、事業の中間、成果報告時に開催する。企業・団体、有識者で構成する。実証講座の効果の計測、eラーニングとスクーリングを併用した教育の効果を検証する。

○事業を推進する上で設置する会議

会議名①

実施委員会

目的・役割

・事業計画の承認および全体の方向性の確認

・事業実施分科会の活動状況、事業の進捗状況、会計等事務処理の管理、監督

・成果の普及

検討の具体的内容

・eラーニングを活用した社会人学び直し講座の検討・協議事項の整理

・先行事例調査内容の確認及び調査結果の活用の検討

・eラーニング講座実施費用の検討

・受講生募集依頼先検討~依頼

・事業実施分科会の進捗管理及び指導

・評価委員会との連携(効果の計測および講座の効果)

・成果の普及、講座実施促進に関する活動

・成果報告会企画、運営

委員数

      8人

開催頻度

3回

実施委員会の構成員(委員)

所属・職名 役割等 都道府県名
大阪情報コンピュータ専門学校 統括 大阪府
名古屋工学院専門学校 講師/一般社団法人TukurouneMono振興協会 ガイド作成・講座協力 愛知県
日本電子専門学校 情報ビジネスライセンス科 ガイド検証・講座協力 東京都
麻生情報ビジネス専門学校 ガイド検証・講座協力 福岡県
一般社団法人Rubyビジネス推進協議会 教材開発・講座実施協力 大阪府
株式会社ユニバーサル・サポート・システムズ ガイド作成 大阪府
一般社団法人女性と地域活性推進機構 講座実施協力・評価 大阪府
一般社団法人全国専門学校情報教育協会 評価 東京都

会議名②

事業実施分科会

目的・役割

eラーニングを活用した社会人学び直し講座の検討・協議事項に関する検証と講座実施ガイドラインの作成、教育プログラムの開発、映像コンテンツの開発および仕様作成、実証講座の実施・運営、効果の測定

検討の具体的内容

・講座開設に当たっての課題把握、各種検討事項整理

・実証講座実施の効果測定基準、方法の検討

・eラーニングとスクーリングによる教育プログラム(シラバス、映像コンテンツ、スクーリング内容、受講者評価指標等)の作成

・実証講座の企画、受講者募集、講座運営

・スクーリング指導書(実施方法、実施内容の設計、進め方等)作成

委員数

    14 人

開催実績

5 回

事業実施分科会の構成員(委員)

 所属・職名役割等都道府県名
株式会社ユニバーサル・サポート・システムズ委員長大阪府

大阪情報コンピュータ専門学校 総合情報学部

ガイド作成・検証、講座実施大阪府

大阪情報コンピュータ専門学校 総合情報学部

講座実施・ガイド検証大阪府

大阪情報コンピュータ専門学校 総合情報学部

講座実施・ガイド検証大阪府
吉田学園情報ビジネス専門学校 情報系学科ガイド作成協力・講座協力北海道
名古屋工学院専門学校 講師/一般社団法人TukurouneMono振興協会ガイド作成協力愛知県
日本電子専門学校 情報ビジネスライセンス科ガイド検証協力東京都
麻生情報ビジネス専門学校ガイド検証・講座協力福岡県
コーデソリューション株式会社講座協力大阪府
10有限会社Ariesガイド作成協力東京都
11株式会社アジャイルウェア/一般社団法人Rubyビジネス推進協議会教材作成協力大阪府
12リバティ・フィッシュ株式会社/一般社団法人Rubyビジネス推進協議会eラーニング実施協力大阪府
13一般社団法人女性と地域活性推進機構講座実施協力・評価大阪府
14一般社団法人全国専門学校情報教育協会ガイド作成・検証協力東京都

会議名③

評価委員会

目的・役割

・eラーニング活用ガイドラインの検証/評価

・成果物の評価、・実証事業の評価

検討の具体的内容

・実証講座の効果の計測結果の確認と考察

・映像コンテンツの効果およびスクーリングの効果について検討、協議

・実証講座の結果によるeラーニング活用ガイドラインの検証と評価

・事業成果物の評価

・事業全体を通した効果の検証

・ガイドライン活用に関する意見と協議

委員数

       3人

開催実績

3 回

評価委員会の構成員(委員)

 

所属・職名

役割等

都道府県名

NHL 中野秀男研究所 /大阪市立大学

評価

大阪府

一般社団法人女性と地域活性推進機構

評価

大阪府

一般社団法人全国専門学校情報教育協会

評価

東京都

○講座の開設に際して実施する実証講座の概要

1)アジャイル型システム開発(初級・中級)eラーニング講座の開講

実証講座の対象者

Rubyビジネス推進協議会会員企業の新入社員

期間(日数・コマ数)

7月中旬から8月一杯 

26時間

実施手法

自宅での自己学習。

受講者フォローとして、受講者には毎日のSlackへの情報アップを義務付け、平日12時から13時の1時間にSlack上で質問等の対応をファシリテータが行う。

スクーリングは3回(6時間程度/回)実施。第1回目は、受講開始時で、オリエンテーション(受講メンバーの顔合わせ・自己紹介、アイスブレーキング)、受講環境およびRuby実習環境の構築、実習環境を使ったRubyプログラミングの入門の受講および実習とする。第2回目は、Rubyの学習とアジャイル開発知識の受講後に行い、eラーニングでマスターしたRubyプログラミングの総括、受講したアジャイル知識の確認、Ruby on Rails実習環境の構築、実習環境を使ったRuby on railsでの開発(入門的なもの)とする。第3回目は、eラーニングでマスターしたRuby on Railsの実践の総括、ペアプログラミング、モグプログラミング、振り返り、アジャイル開発の実践的理解と技術の定着の確認とする。

受講者管理は独自のLMSで、評価はeラーニング上の演習課題の提出およびスクーリングの出席および課題実施状況で判定する。

想定される受講者数

20名

2)アジャイル型システム開発(上級)eラーニング講座の開講

実証講座の対象者

Rubyビジネス推進協議会会員企業の新入社員(初級・中級講座修了者)およびスキルアップを目指す技術者

期間(日数・コマ数)

9月中旬から20日間 

20時間

実施手法

自宅での自己学習。

受講者フォローとして、受講者には毎日のSlackへの情報アップを義務付け、平日12時から13時の1時間にSlack上で質問等の対応をファシリテータが行う。受講者同士もSlack上でフォローし合うことを原則とする。

スクーリングは2回(6時間程度/回)実施。第1回目は、オリエンテーション(受講メンバーの顔合わせ、アイスブレーキング)、実習環境の構築・確認、実習環境を使ったRuby on Railsでの開発(最初の演習課題)とする。第2回目は、アジャイル開発実践(昨年度準備分で昨年未実施の内容の流用)とする。

受講者管理は独自のLMSで、評価はeラーニング上の演習課題の提出およびスクーリングの出席および課題実施状況で判定する。

想定される受講者数

20名

 

Ⅲ) 社会人の学び直しを推進するために実施する工夫の概要

●eラーニング活用ガイドライン
・先行事例における実施内容や課題の把握、本事業におけるeラーニングの導入、運用、保守の費用等を明らかにし、eラーニングを活用した講座開設に有用な具体的な情報を取りまとめる。
・映像コンテンツ作成方法、映像配信の方法、スクーリングの内容、LMSと学習進捗管理方法、学習成果の計測・方法、eラーニング運営方法等、低コストで開発・実施できる新たな「eラーニングとスクーリングを組合せた講座」の実施手法を掲載する。
・以上の内容を掲載したガイドラインの提供で、専門学校のeラーニングを利用したリカレント講座実施や映像を利用した科目提供の準備作業に取り掛かりやすくなる。
● eラーニング
・映像コンテンツ
オープンソース系の安価で使いやすいオーサリングツールや最も普及しているMS製品等を利用する。
2分から8分間程度の細小単元ごとにコンテンツを作成し、それを集めて小単元に積み上げ、60分程度の中単元に仕上げることにした結果、細小単元ごとに収録、修正を行うことで、大きな手戻りの発生を抑え、容易な更新を可能にした。
・eラーニング運用 
配信ソフトやLMS、サーバー等について、実証講座で安価な運用を試行することにより、経済的な方法をガイドラインに掲載できる。
●スクーリング
・テレビ会議システムの利用
一定の場所・時間に集合して行うことを原則とするが、テレビ会議システムを利用してネット上で参加することも許し、移動にかかる時間や経費の削減も可能にする。
・協働作業
ペアプログラミングやモグプログラミング、ハッカソンやアイデアソン等、グループで協働する内容を多く取り入れ、学習時のプラスの相互作用の促進を図る。
・オリエンテーション
アイスブレーキングや協働作業による受講環境の構築等を通して、受講者間のコミュニケーションを促進し、お互いに学習をフォローしてできる体制を早期に作る。
●受講者フォロー
・コミュニケーションツールの利用
ファシリテータや他の学習者とのコミュニケーションを促進するネット上のツールを有効利用し、学習者フォローにつなげる。
●事業の継続
・一般社団法人Rubyビジネス推進協議会との連携
会員企業向け社員研修プログラムのメニューへの採用を進める。
・専門学校への展開
社会人技術者教育やリカレント教育、卒業生のフォローアップ教育として、一般社団法人全国専門学校教育協会を通して会員の専門学校への展開を依頼する。

(5) 事業実施に伴う成果物(成果報告書を除く)

平成30年度
●ガイドライン作成のための調査報告書
  eラーニングの実施事例をもとに、課題等を整理するための基礎資料となる調査結果をまとめたもの。
●アジャイル開発初級映像コンテンツ
 ・映像コンテンツ:資料と解説を収録した6時間コンテンツ
 ・演習課題と解答サンプルプログラム
●アジャイル開発中級教育プログラム
 ・シラバス:中級の映像授業とスクーリングの内容を設計したシラバス
 ・映像コンテンツ:資料と解説を収録した20時間のコンテンツ
 ・演習課題と解答サンプルプログラム等:課題4種類と解答としてのサンプルプログラム

令和1年度
●ガイドライン作成のための調査報告書(2) 
海外の事例調査およびマイクロラーニング、AI、VR を活用した国内での事例を調査し、受講生の満足度を高めるグッドプラクティスをまとめたもの。
●eラーニング活用ガイドライン(中間成果物)
 ・低コストで開発/実施できる新たな「eラーニングとスクーリングを組合せた講座」の実施手法および課題等をまとめたもの
 ・検討、協議、検証結果を取りまとめたもの
  ※対象者の範囲、教育の設計、映像コンテンツ、学習者の管理、講座運営、学習成果の計測、スクーリング、対象者の募集方法、学習期間の設計、学習用端末、受講の手順、実施費用、講座の成果・効果の評価、講座内容の見直しと更新 等
●アジャイル開発上級教育プログラム
 ・シラバス:上級の映像授業とスクーリングの内容を設計した80時間のシラバス
 ・映像コンテンツ:アジャイル開発技術を解説する20時間の映像コンテンツ
 ・演習課題と解答サンプルプログラム等:アジャイル開発技術の演習4種類と解答
 
令和2年度
●eラーニング活用ガイドライン(完成版)
前年度にまとめた中間成果物に、本事業で行った映像コンテンツやLMSの開発、eラーニング講座の開設・運営、スクーリングの実施等で得られた具体的な知見を付加して完成させたもの。
●LMS(改良版)
受講者の管理、受講進捗状況の管理、教材(映像コンテンツ)を順次提示する機能を有したブラウザ上で動作する学習管理システム。


●スクーリング用シラバスの見直し
昨年度の振り返りをもとに、アジャイル型システム開発(初級・中級)eラーニング講座の3回分のスクーリング用シラバスと資料、アジャイル型システム開発(上級)eラーニング講座の第1回目のシラバスと資料
●スクーリング指導書
スクーリングを効果的に行うための指導方法を解説し、指導者の育成に資するもの。内容は、eラーニング講座(初中級・上級)でのスクーリング運営、シラバスや資料等の作成や準備において得られた知見をまとめ、指導方法と効果の計測についても付加したもので、スクーリングにおいて教育目標・習得技術目標の達成者の増加につなげるもの。スクーリング指導書